こんにちは、管理人のネズミックです🐭。
今回は、赤ちゃんが思わずジーッと見入ってしまう絵本『もこ もこもこ』をご紹介します。
大胆な色づかい、抽象的な形、そして耳に残るオノマトペ。
ネズミック『もこ もこもこ』は、シンプルなのに奥深く、不思議な世界へ引き込む一冊です。
「ちょっとこわい?」と感じる方もいますが、読み進めるうちに心がふっとあたたまる構成。読み方の工夫や読者の声も交えてご紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
\1分で読める『もこ もこもこ』のあらすじや感想は、こちらをチェック!/


『もこ もこもこ』ってどんな絵本?
1977年刊行。詩人・谷川俊太郎さんの言葉と、前衛美術家・元永定正さんの絵が響きあう、唯一無二の作品です。
言葉・形・色彩がすべてリズムをもち、赤ちゃんから大人まで惹きつけられます。
あらすじ
しーんと静まり返った世界に「もこ」とふくらみが誕生。
「もこもこ」と大きくなり、「にょき」と新しい存在が現れ、「ぱく」と食べ、「ぷうっ」と膨らみ、最後には「ぽろっ」と落ちていく──。
オノマトペだけで進む物語は、緊張と安らぎが交互にやってきます。
作者紹介|谷川俊太郎さん


1931年生まれの谷川俊太郎さんは、日本を代表する詩人であり、絵本作家としても長く親しまれてきた存在です。
難しい言葉を使わず、日常の中の気づきや感情をまっすぐに表現する詩は、多くの人の心を動かしてきました。
代表作『生きる』に見られるように、「何気ない日常こそが生きていること」と静かに語りかけてくれるのが谷川さんの詩の魅力。
そのまっすぐな感性が、『もこ もこもこ』ではオノマトペという形で生き生きと響いてきます。
対象年齢
出版社の推奨は「幼児から」ですが、もっと小さな赤ちゃんから楽しめます。
- 読んであげるなら:生後4ヶ月頃〜
- 自分で読むなら:4〜5歳頃〜
(※管理人の実体験に基づく目安です)
この絵本が子どもに与える効果
『もこ もこもこ』には、はっきりとしたストーリーはありません。
だからこそ、言葉や色・形の変化がそのまま五感に届き、子どもの心に深く働きかけます。
ここからは、読み聞かせの中で実際に感じられる“ひそやかな力”を、いくつかの視点でご紹介します。
① 視覚と聴覚を同時に刺激
形の変化に合わせて色も移り変わり、グラデーションが巧みに使われています。そこにリズム感あるオノマトペが加わることで、赤ちゃんの目と耳を同時に刺激し、言葉の習得を自然に助けてくれます。



赤ちゃん絵本でありながら、日本語の擬態語の雰囲気を自然と身につけているな、と感じました。
② 集中力と想像力を育てる
ページ中央に大きく描かれる“もこ”を前にすると、「次はどうなるの?」と子どもの興味が引きつけられ、集中して見入ります。物語がないからこそ「生き物みたい」「宇宙みたい」と自由に想像でき、自分なりの解釈で楽しめる余白が残されています。



物語がなくても、子どもはしっかり想像して楽しんでいました。これは本当に驚きです!
③ 感情のゆれを体験する
「生まれる」「食べられる」「破裂する」といった変化がテンポよく展開され、ドキドキと安心がくり返されます。まるで小さな命を見守っているような気持ちになり、感受性の幅を自然と育ててくれるのです。
④ くり返し読みたくなる構造
最後のページは、再び最初の「もこ」に戻れる余白を残しています。終わりのようで終わらない展開が、何度も繰り返し読みたくなる原動力になっています。



こわいな…って思ったあとに、また“うまれる”んよ。じゃけぇつい、またページをめくっちゃうんよ。ほんとクセになる絵本〜🧦
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「こわい」と感じるのはなぜ?


実は『もこ もこもこ』を読んだ大人の中には、「ちょっとこわい」と感じる人も少なくありません。
- 小さな存在が急に大きくなる
- 予測できない展開が続く
- 抽象的で意味がつかみにくい
こうした要素が、大人にとっては不安に映るのです。



子どもにこんな不安な要素を読ませて大丈夫なのかな?とすら思う人もいるんじゃないかな。
でも、実際には破裂のあとに“また生まれる”流れがあるため、物語全体は「変わっても大丈夫」「また始められる」という安心感へとつながっています。 サイクルの中から「変化しても大丈夫」という感覚を、自然と学んでいくのです。



こうした展開をくり返し読むことで、子どもたちは「どんな変化にもちゃんと終わりがくる」「また新しく始められる」というポジティブな感覚を、自然と受け取っているのかもしれません。
読者のリアルな口コミから見る魅力
『もこ もこもこ』は、子どもによって反応が大きく分かれる絵本です。
レビューを見ても、「夢中になる子」「無反応な子」「合わなかった大人」と、大きく三つのタイプに分けられます。
「夢中になった」という声
- 「8ヶ月の息子が笑ってくれました」
- 「0歳のときは反応がなくても、2歳で急にハマった」
- 「擬態語だけでここまで夢中になるとは!」
年齢やタイミングによって反応が変わるのが特徴で、
「赤ちゃんの頃はピンとこなくても、大きくなってから急に夢中になる」
という声もよく見られます。



年齢やタイミングによって反応が変わるのが特徴ですがハマったというレコメンドの多い絵本です。
「子どもがハマった」「赤ちゃんが夢中になっている!」という評価の一方で、「反応が薄い」「ハマらない」という評価もあるんです。
反応が薄かった」という声
- 「子どもが無反応で終わった」
- 「内容がなく、どう読めばいいかわからなかった」
- 「表紙の印象と中身のギャップがある」
「合わなかった」という声
- 「もっとハッピーでポップな絵本がよかった」
この絵本は、
「谷川俊太郎さんが書いている」
「赤ちゃん向けの絵本」
「人気のベストセラー」
といった肩書から、期待値が高くなりがちです。
その分、
「もっとわかりやすく楽しい展開を期待していた」
という声が出るのも、自然なことなんですよね。



期待とちがっていたという声も少なくないんですよね。
実はこの「違和感」こそ健全な感覚なんです。
次のパートでくわしく説明します。
「わからない」と感じても大丈夫な理由
実は谷川俊太郎さんも「変な絵本」だと思っている
オノマトペだけで進む、不思議な展開の『もこ もこもこ』。
読んでいて「なんだかよくわからないな」と感じるのは、とても自然なことです。
実はこの絵本、カバー表紙の内側に、谷川俊太郎さん自身のこんなメッセージが書かれています。
もとながさんは、えかきのくせに、にんじゃのしそんで……
えほんもすこしへんなえほんになりました。
かぜをひかないように、きをつけてよんでね。
——谷川俊太郎『もこ もこもこ』より
作者自身が「ちょっとへんな絵本になった」と認めているんですね。
だからこそ、読んでみて「変わってる」「わからない」と感じても、まったく問題ありません。
むしろこの絵本は、頭で解釈しようとせず、
感覚で受け止めるための絵本。
生まれる→育つ→破裂する→そしてまた再生する。
そんな流れを、意味ではなく「感覚」として体感できます。
この体験ができる絵本は、とても希有で、
なかなか他では出会えません。
絵本との出会いは、人との出会いと少し似ています。
最初はピンとこなくても、何度か触れるうちに
「なんだか気になる」「もう一回読んでみたい」
そんな瞬間が、ふと訪れることがあるので、もし「合わなかったかも」と感じて手放そうか迷っているなら、
もう一度、どこかのタイミングでページを開いてみる。
そんなふうに、少し距離を置いて付き合うのもいいかもしれません。
図書館では気づけない「最後のもこ」
さらに、もうひとつ。
『もこ もこもこ』は図書館で借りるのもいいですが、
おうちで持っているからこそ味わえる仕掛けがあります。
それは、カバー表紙の内側に描かれている
最後の「もこ」 です。
物語の中では、ふくらみきった「もこ」が破裂して、
それで終わったように見えます。
でもカバー裏を見ると、その世界にまた新しい“もこ”が、ふわっと生まれている。
実は以前、図書館であらためて手に取ったときに、
この大事な部分がカバーをテープで固定されていて、
見られなかったことがありました。
──終わりではなく、もう一度はじまりへ。
この絵本が伝えようとしている「再生のよろこび」を受け取れるかどうかは、
この最後のページを見られるかどうかにかかっています。
もし、近所の図書館の絵本がテープで留められているようなら、
ぜひ一度、手元に置くことも検討してみてほしいです。
だからこそ、今は反応がなくても、
そっと本棚に置いておいてほしい一冊。
ある日ふと開いたとき、
この「最後のもこ」が、
物語の印象をがらりと変えてくれるかもしれません。
読み方の工夫
「もっとハッピーでポップな絵本がよかった」という声もあります。
たしかに、可愛らしい表紙とは裏腹に、「食べられる」「膨張する」「破裂する」といった場面は大人にはドキッとする展開かもしれません。
けれど実際は、最後に“また生まれる”展開が待っていて、読むたびに「こわかったけど、大丈夫だった」という安心感を子どもに残してくれます。
読み方の工夫
- 「ためてためて……『もこ!』」と声に抑揚をつける
- 膨らむ場面は勢いよく「モコモコモコモコ!」と早口で
- 小さい声、大きい声、低い声、高い声…いろんな声色を試してみる
抽象的だからこそ、読み手の声が絵本の世界をつくります。
少しでもこの絵本が、お子さんと心を開き合う「友だち」のような存在になってくれたらうれしいです🐭。
まとめ|『もこ もこもこ』は、ことばと感覚で楽しむ“育つ”絵本
『もこ もこもこ』は、はっきりした色、不思議な形、リズムのあるオノマトペ――
どれもが子どもの五感を刺激し、想像力や感情の芽をそっと育ててくれる絵本です。
ストーリーがないからこそ自由に感じられる世界、
予測できない展開のなかに生まれるドキドキと安心感、
そして何度読んでも新しい発見がある不思議な魅力。
好みによって最初はピンとこないこともあるかもしれませんが、
それでもふとしたときに、親子で出会い直せる絵本のひとつです。
図書館で出会った方も多いと思いますが、
カバー裏の“仕掛け”や繰り返し読む楽しさをじっくり味わいたいなら、やはり手元に一冊置いておくのがおすすめです。
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