あらすじ
この絵本は、東日本大震災の半年後にあたる2011年8月に発行されました。
「こわくて ふあんで ねむれない そんなよるには…」という優しい語りかけではじまり、夜の静けさの中にある自然の美しさや、家の中でできる小さな行動に目を向けさせてくれます。
タイトルに「地震の夜」とありますが、非常袋や避難の準備など実用的な内容ではなく、子どもの心に寄り添い、不安を和らげる“心の処方箋”のような絵本です。
カーテンの向こうに広がる空、耳をすませば聞こえる音、あたたかい毛布や寄り添ってくれる誰かの存在──
こわくて眠れない夜に、そっと心を落ち着けてくれるような静かな時間を描いています。
読んで感じたこと
大きな地震のあと、子どもたちの心には大人が思う以上に不安や恐れが残ります。
この絵本は、そんな子どもたちに「だいじょうぶだよ」と一方的に伝えるのではなく、「こわかったね」と静かに寄り添ってくれるような存在です。
「ゴールはどこだ? 空よりもひろい、おかあさんのうでのなか」──
この一文には、行き場のない不安にうちひしがれた子どもたちへ、迷子にならないように示された道しるべのような、深い安心感があります。
また、震災後の暮らしの中で我慢ばかりを強いられている子どもたちに、絵本はそっと語りかけます。
「おふろのゆぶねにもぐったら、いいたいことをいってごらん」
──「おとうさんのばーか」「おかあさんのおこりんぼ」「おふろいっぱいのゼリーがたべたい」
そんな本音やわがままを、「言っていいよ」と包みこんでくれるような優しさが、この絵本にはあります。
さらに巻末には、子どもの不安とどう向き合えばよいか悩む保護者のために、専門家によるアドバイスも掲載されています。
子どもに寄り添うだけでなく、大人の不安にもそっと寄り添ってくれる──そんな心強い絵本です。
わが家では、5歳の子に読み聞かせましたが、まだ「地震の不安」を実感した経験がないぶん、物語の本当の重みまでは伝わりきっていないようでした。
けれど、静かに耳をすませ、言葉をじっと受け取ろうとする姿が印象的でした。
この子がいつか不安にふるえる夜に出会ったとき、そっと思い出してくれたら──そんな願いとともに、
「こんな思いをさせたくない」「ずっとそばにいてあげたい」と、読み終えたあと親の私自身が強く感じました。
楽天・Amazon・絵本ナビ・読書メーターのレビューより
子どもが不安を感じたときにどう寄り添うかを、優しい言葉と静かなトーンで導いてくれる一冊です。小さなお子さんにはやや抽象的という意見もありますが、「抱きしめる」「ほっぺを寄せる」などのスキンシップを促す内容は、読み手の姿勢ひとつで伝わり方も変わるようです。
読む人の年齢を問わず、心にそっと寄り添ってくれる──そんな絵本として、大人にも子どもにも静かな支持を集めています。
📦 Amazon
レビューは投稿されていません(2025年7月現在)。
📚 楽天ブックス
「読み聞かせにはやや抽象的で、子どもには難しいかも」という声もありましたが、震災直後や近年の地震被災後に「大人の心にも染みる一冊」と再評価されています。2024年元旦の能登半島地震を機に読まれた方からは、「不安を抱える子どもたちへ、落ち着いた頃にそっと読みたい」との声も。巻末の汐見稔幸先生によるアドバイスも心強いと好評です。
📘 絵本ナビ
「みんないるよ ひとりじゃないよ」という言葉に救われた、という声が複数寄せられています。
スキンシップの描写や語りかけが「日常にも活かせる」「親の姿勢を考えさせられた」といった感想につながっており、防災絵本としてだけでなく、普段の子育てにも役立つ内容として受け止められています。
📗読書メーター
レビューは投稿されていません(2025年7月現在)。
こんなときにおすすめ
- 災害や地震のあと、不安を感じている子どもにそっと寄り添いたいとき
- 避難訓練のあとに、子どもたちの気持ちをやわらかく受けとめたいとき
- 夜になると不安や恐怖を口にする子に、安心できる時間を届けたいとき
- 保育園・幼稚園・学校で「こころのケア」を考えるきっかけとして
- 防災の日(9月1日)や3月11日に、親子で読み返したい絵本として
- 大人自身が「こわかったね」と言ってあげる勇気を持ちたいとき
幼児向け 小学校低学年 小学校中学年 大人向け 親子で考える 雨の日の絵本 感情教育 保育・幼児教育 防災・こころのケア絵本
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