こんにちは。管理人のネズミックです。
今回紹介する絵本は、瀧村有子さんの作品『ちょっとだけ』を紹介します。
赤ちゃんが生まれてお兄ちゃんお姉ちゃんになった子どもの気持ちを描いた絵本です。
少しずつ自分の役割をおぼえて、新しい家族を受け入れていくひたむきな姿に心を奪われる物語です。
これから家族が増えるご家庭はぜひお子さんと一緒に読んで欲しい一冊です。最後までどうぞごらんください。
『ちょっとだけ』ってどんな絵本?絵本のあらすじや特徴は?
絵本『ちょっとだけ』は、成長や新しい体験をテーマにした深いメッセージを持った作品です。
赤ちゃんが生まれたよろこびと、子どもが出会う挑戦・・
なっちゃんのおうちに あかちゃんが やってきました。
なっちゃんは おねえちゃんに なりました。 引用-『ちょっとだけ』
この絵本のなかで ひとりっ子だった なっちゃん はお姉ちゃんになります。
”お姉ちゃんになるということは、赤ちゃんにママの時間をわけてあげること・・”
実はそんな言葉はここには書かれていませんが、なっちゃんは生活のなかで、いままでママにしてもらっていたことがお願いできなくなることに気づくのです。
はじめはお買い物にいくとき、手をつなごうとすると ママが赤ちゃんをだっこしていて つなげないこと。
なっちゃんは ママのスカートを”ちょっとだけ”つかんで あるきました。 引用-ちょっとだけ
のどが乾いて牛乳をママについでもらおう思ったら、赤ちゃんが泣き始めましたからママはなっちゃんのために牛乳を注いでくれる暇が無いこと。
なっちゃんは はじめてじぶんでぎゅうにゅうをコップにいれようとしました。とってもおもくてむずかしかったけど・・・やっとのことで”ちょっとだけ”いれることができました。引用-ちょっとだけ
ママがやってくれないことが増えることで、すこしずつ挑戦の機会に変えていきます。

読んでいると、切なくなるのですが、実際赤ちゃんが生まれるとママがやってあげられないことが増えて歯がゆい思いをする場面が何度もでてきます。親としても胸が痛くなるほどとてもうまく表現されています。
一人っ子からお姉ちゃんになろうとする姿
なっちゃんは、ママがやってくれていたことを思い出しながらちょっとやってみようと挑戦します。
むずかしいし、失敗するけれど
「ちょっとだけできた」と気持ちのお姉ちゃんになったことを体感します。
言い方をかえれば、ママに頼らない時間が増えるということは
自分で挑戦したりして「ちょっとだけできた」という”自信”を持てる機会が増える時間になるんですね。
しかも、赤ちゃんのために、ママのためにできた達成感も加わるので、その自信には絆も一緒についてくるのです。



これは一人っ子や末っ子の時には気付けない感情です。
「お姉ちゃんだけど甘えたい」心のそこにある、こども心も大切にしている・・
いくら、お姉ちゃんだもんと心で思いながらも、ママに甘えたい気持ちも募っていきます。
「ママ、ちょっとだけ、だっこして」
ママは、「ちょっとだけじゃなくていっぱいだっこしたいんですけど、いいですか?」といって、
このときばかりは本当に二人の時間を過ごします。
この抱っこは、ママにとっても、なっちゃんにとってもこれまでの「ちょっとだけ」よりも
何倍も大きな時間に感じたにちがいありません。
このお話を通じて、作品全体が子どもの成長と甘えをきちんと受け入れて優しく包み込んでいることがよくわかります。
『ちょっとだけ』は、兄弟のいるご家庭なら、共感される絵本です。
家族の形は赤ちゃんが生まれた時からできるんではなくて、前に進んだり、時に失敗したりしながらゆっくりとしたかけがえのない成長とともに形成されていくのがよくわかります。
小さい赤ちゃんは待ったなしの状態でママはかかりっきりになっても、ほんのひと時お兄ちゃんお姉ちゃんと絵本を読んで寄り添う時間もつ、それだけでまた心が不思議と心が繋がれた気になるはずです。
ちいさな女の子のがんばりや葛藤がつまった、きっと誰にでもある大事な忘れたくない子どものころを描いているのできっと同じ経験をされる方にも大切な一冊になるはずです。
- これから二人目の赤ちゃんが生まれるご家庭
- (赤ちゃんが生まれて)上の子どもが赤ちゃん返りをして困っていたら
- (赤ちゃんが生まれて)上のこどもにどう「成長」伝えたり、受け入れてもらうかを悩んでいるとき
- (赤ちゃんが生まれて)上の子どもが(兄弟ができたことで)無理をしているのを感じたとき
- 子育てしていて余裕がないとき
こんな時、ぜひ親子で読んでみてください。特に親にとっても大事な時間を再認識するきっかけになります。
絵本の概要はこちら!
- タイトル:『ちょっとだけ』
- 著者:瀧村有子さく/鈴木永子え
- ISBN:9784834022995
- 出版社:福音館書店
『ちょっとだけ』の対象年齢は?
福音館書店の公式な『ちょっとだけ』の対象年齢は読んであげるなら3歳から、自分で読むなら小学校初級むきとしています。
実際に読んだ感想も差異が無いように思います。
おこさまが自分で絵本を読む場合、この作品全体はひらがなで書かれているので、ひらがなを読める子には早く読める絵本ですが読んで教訓やメッセージを感じ取れる時期を考えると、小学校に入って低学年くらいの子どもだと印象的に感じると思います。
出版社の対象年齢:3歳から 自分で読むなら:小学校初級向き | 実体験に基づく対象年齢 読んであげるなら:3歳頃から※(1) じぶんで読むなら:6歳から※(2) |
※(1)(2)こちらの年齢は、管理人が実体験に基づく基準です。個人差があるためご了承ください。
著者・瀧村有子さん について


1968年、千葉県生まれ。瀧村有子さん絵本づくりの原点はご自身の子育て経験が反映されています。
2007年に出版された本作『ちょっとだけ』もご自身の経験から生まれたものでした。
福音館書店の「こどものとも」の折込チラシの「作品大募集」という枠に応募したのがきっかけでした。
当時は入選はできなかったそうですが後に、編集者の方から連絡があって、鈴木永子さんの挿絵で出版できることが決まったようです。これが瀧村さんの絵本づくりの仕事として初めての作品でした。
『ちょっとだけ』はフランス語、韓国語、台湾語などの翻訳本も発行され世界中から共感される絵本となりました。
瀧村さんの作風
瀧村さんのこれまでの作品は『ちょっとだけ』(2007)『てのひら』(2010)『そっと』(2016)の三作品。いずれも子どもの成長や心情の変化を優しく描いています。
三作品を比較してみました。
商品 | テーマ | あらすじ |
---|---|---|
![]() ![]() ちょっとだけ | 第二子誕生後の家族の成長 | 「ちょっとだけ」成長しながら作られる家族のありかた |
![]() ![]() てのひら | 子どもの不安感情の受け入れ | 幼稚園を怖がる娘に手のひらに おまじないをする.. |
![]() ![]() そっと | 強く握りすぎちゃう 子どもの力加減の難しさ | そっとやったらできること |



どの作品も共通して子どもの心の成長と心の動きを、静かにていねいにすくい取って描かれた作品です。絵本を読んでより子どもの気持ちを知って寄り添えるようなやさしい絵本です。
『ちょっとだけ』の口コミ&レビュー
ちょっとだけを読んだ方の感想です。
※絵本ナビより引用
思いがあふれて、ママがいっぱい抱っこしたいんですけどといったと同時に抱きしめてしまいました。娘もこの絵本を読むとこのページを読み終える前にいいですよーと抱きついてきます。母にとっても娘にとっても自分を重ねわせて大切な一冊になりました。
そんな時図書館で借りたこの絵本を読みながら、「うちと同じだね」ということすらできませんでした。悲しい気持ちに気づいているのにかまってやれない自分につきつけられた気がしました。この時の気持ちを忘れないよう、この絵本を買いました。
うちにも三人目の赤ちゃんが生まれたとき、長女が牛乳を同じようにコップに入れたとき、うまく入らずにこぼれたのを大声で怒鳴ってしまったことがありました。この本を読んだときに、はじめて長女の気持ちに気づきました。わたしが大変だから自分でやってくれたんだと。
それからは、子どもを怒ってしまったときに読むようにしています。
怒りがすーっと消えて子どもの気持ちがわかるようになります。
育児に余裕がなくなってしまう気持ちは、子育てをしているママなら痛いほど伝わってきます。新生児を育てながら、幼い子どもたちを見るのは想像していたときよりも疲労や思い通りにならないフラストレーションで余裕がなくなります。
この絵本を通じて、そんな余裕を無くしてしまったママの心を救い、「読んでからたっぷり甘えさせてあげたいという気持ちをもてた」と、「我が子の気持ちに気づくことができる」と涙のあふれる共感の声があがっています。
『ちょっとだけ』が嫌われている!?その理由とは?
『ちょっとだけ』はたくさんの読者に愛される絵本ですが、一部では「苦手」「モヤモヤする」といったネガティブな意見もあります。まずはその理由をまとめました。
なっちゃんにこんなに我慢させるの?
お姉ちゃん像がママにとっての理想化されないか心配・・
お母さんが赤ちゃんにかかりきりすぎ!



なるほど。読みようによっては、この絵本を読んでひたむきにがんばろうとするなっちゃんをみて「なっちゃんのようにがんばりなさい」と子どもを強要させてしまう可能性もあるんですね・・!それは危険です。
そこでこの絵本の読み方、視点の捉え方を紹介します。
『ちょっとだけ』絵本が嫌いな人の解決につながる視点は?
絵本のなっちゃんの捉え方は「子どもがこうあるべき」と捉えない。
なっちゃんの存在はあくまで、子どもはゆっくりと成長するものなんだと理解を深めるための象徴と捉えてみましょう。親も子どもも「ちょっとだけ」「ちょっとずつ寄り添っていけばいいんだ」と読むことで、もし育児の過程で行き詰まっているのなら、ふたりで読んでプレッシャーをやわらげる役割になります。
“我慢の美化”をやめて、“気づいてもらえた安心”に注目する
この話の本質は「我慢しなさい」ではなくて、「がんばってる気持ちに、誰かが気づいてくれることの大切さ」にあるんです。だから、子どもが我慢している姿をみたら、それに気づいて寄り添えることが親としてできることです。
実生活では「がんばらなくていいよ」「ママも大変なんだよね」と気持ちを言葉にしてこぼせるくらいが、お互いをラクにさせてくれます。
読み終わってから、子どもの気持ちも聞いてみる
子どもと一緒に読んだら、「◯◯ちゃんもこんな気持になったことある?」と聞いてみると感情を一緒に整理したり受け止め直すこともできます。いま、ママの中に「受け止め直す余裕もない」と思うときは、何かを今後改善しないとならないと思われがちですが、聞いてあげること、それだけで寄り添えます。今が変わらなくても、「そばにいてくれてありがとう」や「大好きだよ」と抱きしめてあげるだけでいいんです。
『ちょっとだけ』は読む人自身の心の状態に影響される絵本です。
モヤモヤしたなら、それはあなたが子どもの気持ちに実は深く向き合えている証拠なんです。
今の現状を改善する”完璧な親”ではなくて”気づこうとする親”であることが一番の解決につながるんです。
必要なのは「正解」より、「ちょっとだけ寄り添う気持ち」。それで充分です。
『ちょっとだけ』はメルカリで販売している?
『ちょっとだけ』はメルカリでも中古本が販売されています。おサイフに優しい値段で購入できると助かりますね。
まとめ
いかがでしたか?
二人目の赤ちゃんがうまれたら読んでほしい。ママが泣ける『ちょっとだけ』の魅力を紹介しました。
この絵本は赤ちゃんが生まれてお母さんにかまってらえなくなった主人公なっちゃんが「ちょっとだけ」自分で頑張ろうとするお話ですが、頑張る子どもがちゃんと甘えられる安心を見つける物語です。
なっちゃんは絵本の中で、ひとりで取り組んでいますが「我慢しなさい」ではなくて、「がんばってる気持ちに、誰かが気づいてくれることの大切さ」にあります。
親も子どもも、これ以上の我慢や無理をするのではなく、「がんばってるね」と声をかけたり「ママも大変なんだよね」とこぼしあいながら「ちょっとだけ」「ちょっとずつ寄り添っていけばいい」というのがこの絵本の捉え方のようにおもいます。
ぜひ親子で読んで寄り添う時間がもてたらいいなとおもいます。