今回ご紹介するのは、絵本『ちょっとだけ』です。
二人目が生まれ、お兄ちゃん・お姉ちゃんになった子の気持ちを描いたこの絵本は、
感動する一方で、
「上の子に我慢をさせているようで苦しくなった」
と感じる人もいます。
では、この絵本は本当に“我慢を強いる物語”なのでしょうか。
『ちょっとだけ』が伝えようとしている子どもの気持ちを、あらためて考えてみます。
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『ちょっとだけ』ってどんな絵本?
『ちょっとだけ』は、二人目が生まれたときの上の子の気持ちを、
とても静かに、やさしく描いた絵本です。
お姉ちゃんになったなっちゃんの“がんばり”と“甘えたい気持ち”の両方に寄り添ってくれる物語です。
なっちゃんのおうちに、赤ちゃんがやってきました。
ママは赤ちゃんを抱っこしていて、手をつなぎたいのにできない。
牛乳を注いでほしくても、ママは手が離せません。
そんな日常のなかで、なっちゃんは「ちょっとだけ」自分で頑張ってみます。
- ママのスカートを ちょっとだけ つかんで歩く
- 牛乳を ちょっとだけ 注ぐことができる
小さな「できた」を重ねながら、
なっちゃんは少しずつ“お姉ちゃん”になろうとします。
心に残る場面
頑張りながらも、本当はママに甘えたい気持ちを抱えていたなっちゃん。
その気持ちがあふれて出た言葉が――
「ママ、ちょっとだけ、だっこして」。
するとママは答えます。
「ちょっとだけじゃなくて、
いっぱい だっこしたいんですけど、いいですか?」
この場面は、子どもにとってもママにとっても忘れられない特別な時間。
読み聞かせるママ自身の心にも、やさしい涙を呼び起こしてくれます。
ネズミックこの一言に、親なら誰もが胸をつかまれるはず。
読むときに大切にしたい視点
『ちょっとだけ』は、子どもを“理想のお姉ちゃん像”に押し込める絵本ではありません。
むしろ、「子どももママも、がんばりすぎなくていい」と、そっと伝えてくれる一冊です。
読むときに、意識しておきたいのはこの3つ👇
- 我慢を美化しない
「できたこと」よりも、「がんばろうとした気持ち」に目を向けてあげましょう。 - 気づいてもらえた安心を大切に
なっちゃんの「ちょっとだけ」が報われるのは、ママに気づいてもらえたから。
子どもにとっては、この「気づいてもらえた」という感覚が、何より大きな安心になります。 - 気持ちを話すきっかけにする
読み終えたあとに「◯◯ちゃんも、こういう気持ちになったことある?」と聞くだけで、
子どもが自分の気持ちを言葉にする、最初の一歩になります。
こんなときにおすすめです
『ちょっとだけ』は、こんな場面で特に力になってくれる絵本です。
- 二人目の赤ちゃんを迎えるご家庭
- 上の子の“赤ちゃん返り”に悩んでいるとき
- 上の子が「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」をがんばりすぎていると感じるとき
- ママ自身が育児に余裕をなくしているとき



読み聞かせを通して、
親子で「ちょっとだけ」気持ちを寄り添い直す時間を持てるはずです。
それだけで十分。
心が、少しラクになる一冊です。
\ 『ちょっとだけ』のみんなのレビューを知りたい方はこちら /


対象年齢は?
福音館書店の公式ページによると、『ちょっとだけ』の対象年齢は次の通りです。
- 読んであげるなら:3歳ごろから
- 自分で読むなら:小学校低学年くらいから
小さなうちは読み聞かせで。
少し大きくなったら、自分で読んで気持ちを言葉にする。
成長に合わせて、何度も読み返せる絵本です。
著者・瀧村有子さんについて


瀧村有子さんは1968年、千葉県生まれの絵本作家です。
三人のお子さんを育てながら、子どもの心に静かに寄り添う作品を描き続けています。
代表作『ちょっとだけ』は、第二子の誕生後に感じた
“上の子のけなげな姿”をきっかけに生まれた絵本。
小さな体で一生懸命にがんばる姿への
「ありがとう」という気持ち、
そして「まだ甘えたいんだよ」という心の揺れを、
母としての実体験から丁寧に描いています。
『ちょっとだけ』は、福音館書店の「こどものとも」での作品募集を経て出版され、
現在ではフランス語・韓国語・台湾語などにも翻訳され、
世界中で読まれている一冊です。
これまでの作品には――
- 『ちょっとだけ』(2007年)二人目誕生後の家族の変化と、上の子の心の成長を描いた物語
- 『てのひら』(2010年)新しい環境に不安を感じる子に寄り添い、心を落ち着かせるおまじないのような絵本
- 『そっと』(2016年)力の加減や思いやりを、「そっと」という行動を通して伝える一冊
どの作品にも共通しているのは、
「子どもの小さな気持ちを、そのまま大切にする」という姿勢。



育児に悩んだとき、
親子の距離感に迷ったとき――
瀧村有子さんの絵本は、そっと気持ちを支えてくれる存在になります。
まとめ|「ちょっとだけ寄り添う気持ち」で十分
『ちょっとだけ』は、二人目の赤ちゃんが生まれ、
上の子が「ちょっとだけ」自分でがんばろうとする姿を描いた絵本です。
でも本当に大切なのは、
「がんばりなさい」と求めることではなく――
がんばっている気持ちに、ちゃんと気づいてもらえること。
読み終えたあとには、子どもに
「◯◯ちゃんも、こういう気持ちになったことある?」
と、そっと聞いてみてください。
答えが返ってこなくても大丈夫。
聞いてもらえた、という事実だけで、子どもは安心できます。
親も子どもも、これ以上の我慢や無理をする必要はありません。
「がんばってるね」と声をかけたり、
「ママも大変なんだよね」と気持ちをこぼし合いながら――
“ちょっとだけ”“ちょっとずつ”寄り添っていけば、それで十分。
ぜひ親子で読んで、
やさしく気持ちを寄せ合う時間を持ってみてくださいね。
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